この記事の要点
2026年3月5日、米国連邦保安局(USMS)が押収した仮想通貨4,600万ドル(約72.4億円)以上を盗んだ疑いで、米政府の仮想通貨管理契約業者の息子であるジョン・ダギータ氏がカリブ海のセントマーチン島で逮捕されました。
今回の逮捕はFBI(連邦捜査局)とフランス当局の合同捜査によって実行されたもので、フランス国家憲兵隊の精鋭戦術部隊およびグアドループの国家憲兵隊介入グループ(GIGN)が作戦に参加しました。FBI長官のカッシュ・パテル氏が自身のX(旧Twitter)で逮捕を報告しています。
国家機関が保管していたデジタル資産が内部関係者によって持ち出された疑いが浮上したことで、連邦機関による仮想通貨(暗号資産)押収資産の管理体制に対する懸念が高まっています。
パテル長官は「FBIは米国の納税者を欺こうとする者を追跡し、逮捕し、裁きの場に引き出すため、国際パートナーと24時間体制で協力し続ける」と述べています。
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ダギータ氏の父親であるディーン・ダギータ氏は、バージニア州に拠点を置くテクノロジー企業Command Services & Support(CMDSS)の社長兼CEOです。
CMDSSは2024年10月、USMSから押収された仮想通貨のうち主要取引所で取り扱われていないデジタル資産の管理・処分を行う契約を獲得しており、2016年の仮想通貨取引所Bitfinex(ビットフィネックス)のハッキング事件に関連する資金を含む複雑な刑事事件の押収資産も管理対象に含まれていました。
仮想通貨リサーチャーのZachXBTは、ダギータ氏がオンライン上で「Lick」というハンドルネームを使用していたと報告しており、非公開のTelegram(テレグラム)チャットに残された紛争の記録がその後のオンチェーン分析につながったと説明しています。
ダギータ氏はそのチャット内で数百万ドル規模の資金をリアルタイムで移動させる能力を示したとされており、オンチェーン分析によってこれらのウォレットが政府押収資産を保有する既知のアドレスに紐づいていることが確認されました。
ZachXBTの調査によると、ダギータ氏が管理していたとされるウォレットの1つには「12,540 ETH」が保有されており、現在レートでで約3,600万ドル(約56.7億円)に相当します。
さらに2024年10月にはUSMS関連のウォレットから約2,000万ドル(約31.5億円)が移動され、大部分は1日以内に返却されたものの、インスタント取引所を経由した約70万ドル(約1.1億円)は回収されていないと明らかにしています。
一部メディアでは、2025年後半に観測された活動も含めると、窃盗の疑いがある総額は9,000万ドル(約135億円)を超えるとの報道も出ています。
米国当局は現時点で、ダギータ氏がどのようにして仮想通貨やウォレットへのアクセスを得たのか、またCMDSSの内部管理体制が回避されたのか悪用されたのかについて、公式には詳細を明らかにしていません。
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今回の事件は、国連邦保安局(USMS)が保有する仮想通貨の管理体制に対する監視が強まる中で発生しました。USMSは19万8,000 BTC以上を保有しており、その規模は現在レートで約141億ドル(2.2兆円)に達するとされています。
内部者による窃盗疑惑の浮上は、連邦機関が刑事事件で押収したデジタル資産をどのように保護・追跡するかについて、制度的な改革を求める声をさらに強める契機となっています。
仮想通貨の押収資産管理をめぐっては、2025年3月にドナルド・トランプ大統領が「戦略的ビットコイン準備金」の設立に関する大統領令に署名したことで、政府が保有するデジタル資産の透明性と管理体制に関する議論が活発化していました。
政策整備が進む最中での逮捕劇は、管理現場における深刻なセキュリティの脆弱性を露呈した事例として、今後の制度設計にも大きな影を落とすとの見方も出ています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.49 円)
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Source:カッシュ・パテルFBI長官X投稿
サムネイル:AIによる生成画像


