●相場は下落後の調整局面で、弱気寄りだが売り圧力は一巡しつつある。
●価格が不安定でも、中長期保有を目的とした買い・保管行動は継続している。
●下値は支えられているが、明確な上昇フェーズには入っていない。
現在のEthereum市場は、下落基調の中で需給構造に変化が入り始めている「弱気相場後半〜レンジ移行期」に位置づけられる。方向性としては、依然として弱気が優勢だが、売り圧力の質は徐々に変化している。
オンチェーンデータを見ると、Ethereumはこのサイクルで最も速いペースで取引所残高が減少している。これは短期的な投機売買ではなく、自己保管・ステーキング・長期保有への移行が主因と考えられる。実際、直近6か月で初めてバリデーターの参加待ちキューが離脱キューを上回り、参加は約74.5万ETH、離脱は約36万ETHにとどまった。ステーキングへの新規流入が再び優勢になっている点は、中長期の供給制約を示唆する。
添付のスポットTaker CVD(90日)では、直近で売り主導から中立〜買い戻し方向への変化が確認できる。これは価格上昇を保証するものではないが、積極的な成行売りが一巡しつつある兆候と解釈できる。一方で、Ethereum ETFは直近1日・7日ともに純流出が続いており、金融商品フローはなお重石となっている。
添付のスポットTaker CVD(90日)では、直近で売り主導から中立〜買い戻し方向への変化が確認できる。これは価格上昇を保証するものではないが、積極的な成行売りが一巡しつつある兆候と解釈できる。一方で、Ethereum ETFは直近1日・7日ともに純流出が続いており、金融商品フローはなお重石となっている。
反対に、この見方が崩れるのは、取引所残高の再増加やステーキング参加の減速、CVDが再び明確な売り優勢に転じた場合である。
現時点では、Ethereumは価格的には弱含みだが、需給構造は静かに改善しつつあるという見方がベースシナリオ。ただし、売り主導のフローが再加速する場合、この見方は見直す必要がある。
オンチェーン指標の見方
Spot Taker CVD(90日)とは、直近90日間の成行買いと成行売りの累積差分を示すオンチェーン指標で、市場で能動的にどちらが優勢かを可視化する。CVDが上昇している局面では成行買いが優勢となり、低下している局面ではリスク回避を伴う成行売りが主導していると解釈される。この指標は短期的な価格方向を示すものではなく、売買の質や需給圧力の変化を捉えるための指標である。CVDの下落が鈍化、または中立化する局面は、強制的な売りが一巡しつつある兆候として、調整局面後半で観測されやすい。


