ケビン・ウォーシュ氏が6月17日に初めて米連邦準備制度理事会(FRB)議長として記者会見を行い、「物価の安定こそ最優先」と明確に強調した。この日、S&P500は1.2%下落し、1994年以降の新議長による「FRB会見日」では最悪のパフォーマンスとなった。
トランプ米大統領は、中央銀行に対する利下げ要請を数カ月公然と続けた後、ウォーシュ氏を指名した。しかし新議長は、これとは真逆のシグナルを発出。ダウ平均株価はこの発表を受け、前場の上昇分をすべて失い、500ドル超下落した。
FRBは水曜日に政策金利を据え置いたが、これは市場が事前に完全に織り込んでいた内容であった。衝撃を与えたのはウォーシュ議長の発言内容である。同氏は注目度の高い連邦公開市場委員会(FOMC)声明文を簡素化し、FRBの運営を根本的に見直すタスクフォースの設置を発表した。
Bespoke Investment Groupのデータによれば、新議長初日のパフォーマンス記録は1994年にさかのぼる。前任のベン・バーナンキ氏、ジャネット・イエレン氏、ジェローム・パウエル氏も就任初日の「FRB会見日」にS&P500は下落したが、今回のような大幅安はなかった。
フェッド・ファンド先物(政策金利の先行きを予想するデリバティブ)では、10月にも利上げがなされる可能性が織り込まれ始めている。これは2026年当初には想定されていなかったシナリオである。FOMCの複数メンバーはすでに今年の利上げも辞さない考えを示しており、ウォーシュ議長の会見が新体制のFRBは緩和路線を取らない方針であることを明らかにした。
金融政策の引き締めは、リスク資産には逆風となる。ビットコイン相場はこれまで流動性環境と密接に連動してきた。FRBが今後利下げでなく利上げを示唆するなら、2026年初頭まで暗号資産市場を支えてきた追い風が失われる構図となる。
ウォーシュ議長の会見後、ビットコインと金はともに下落した。利下げを前提にポジションを構築していた暗号資産投資家にとって、いまや計算が大きく変化している。FRBがいつ利下げするかではなく、今後利上げに踏み切るかが問われている。

