インドのAIスタートアップであるSarvam AIが、シリーズBラウンドの一次調達で2億3400万ドルを調達し、企業評価額が15億ドルに達したと報じられた。これはインドのスタートアップ史上、シリーズBラウンドとしては最高額の評価額となる。
本ラウンドはHCLテックが主導し、最終的には3億ドル規模になる見通し。この評価額により、Sarvamはインド政府による国産AIインフラ整備の中心的存在となった。各国政府が海外AIモデルへの依存に慎重姿勢を強める中での動き。
Sarvamは、インドの言語や現地ニーズに特化した大規模言語モデル、音声ツール、翻訳システム、AIエージェントなどを開発している。主軸は音声優先型AI、公共サービス、企業向けツール、地域言語へのアクセス拡大にある。
この戦略は主権AIというより大きな構想と重なる。主権AIとは、国がAIモデルやデータ、コンピューティングシステム、AIサービスの管理権限を強化し、経済や政府運営への影響力を高めようとする考え方を指す。
米国で最近発生したAnthropicのFable 5およびMythos 5をめぐる論争を受け、主権AIの概念は新たな注目を集めている。
Anthropicは、米国の規制により一部の外国人従業員を含む外国籍者の利用制限が課されたことを受け、全顧客向けにこれらのモデルの提供を停止せざるを得なかったと発表した。
こうした事例は、安全保障や輸出管理、政策的な圧力が高まる中、高度AIシステムへのアクセスが短期間で大きく変動し得る現実を示した。インドのような国にとって、こうしたリスクは国産代替策の構築を後押しする理由となる。
ただし、主権AIは完全な独立を意味しない。インドは依然として世界の半導体やクラウドサービス、オープンソースの研究開発に依存している。Sarvamの取り組みはより現実的だ。インドの言語や法制度、各種機関、そして大規模な人口に適したAIシステムを構築する点に重きを置く。
今回の資金調達ラウンドが注目される理由は単なる企業価値の高さだけではない。投資家や政策当局がAIインフラを単なるソフトウェア市場ではなく、戦略的資産と見なす転換点となった。


