スペースXは、750億ドルの上場に際し、ウォール街に引受手数料として約5億ドルを支払った。これは全体の0.7%に相当し、メガIPOとしては過去最低水準の手数料率である。
ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが主幹事を務め、最大の手数料を得た。それでも手数料率が低く、銀行側は見出しとなる報酬以上の副次的なメリットを追求する姿勢を示した。
スペースXは、1株当たり135ドルで5億5560万株を売却し、750億ドルを調達した。取引時のロケットメーカーの評価額は約1兆7700億ドルとなった。
今回の上場は、2019年のサウジアラムコによる294億ドルの調達額を上回った。これにより、調達額で過去最大のIPOとなった。
初日は株価が約19%上昇し、終値は161ドル近辺で引けた。終値時点のスペースXの時価総額は2兆ドルを突破し、2兆ドルデビューを果たした。
引受手数料の総額は約5億ドルで、21の引受幹事会社で分配された。0.7%という水準は、2014年にアリババの幹事銀行が得た1.2%を下回り、長年のメガディール基準を覆した。
通常の上場案件では、はるかに高い手数料を支払う。小規模案件のグロススプレッドは7%近くに集中し、大型の上場でも1%を下回ることはまれである。
低い手数料率でも、金額としては過去最大となった。5億ドルの手数料プールは、ウォール街が単一の株式上場で得た手数料として最高額である。
ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは、それぞれ手数料プールの約20%(1億ドル)を獲得した。ゴールドマン・サックスは目論見書でリードレフトを務めた。
バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、JPモルガンチェースが続き、それぞれ約7500万ドルを受け取った。中小のシンジケート参加行は1000万ドル以下にとどまった。
スペースXはまた、約110億ドルとなるグリーンシューオプションについて、異例のゼロ手数料条件も導入した。この条件により、同社は数千万ドル規模の追加コストを削減した。
このスキームは、価格決定やロードショー、配分など主要業務に関わったリードバンクに対し、株価が設定価格を上回って始まったことも踏まえ、より大きな報酬を用意する形となった。
低い手数料率にもかかわらず、案件には激しい競争が生じた。この上場には3500億ドル超の注文が集まり、うち機関投資家による入札だけで2500億ドルを超えた。ブラックロックは単独で約50億ドルの取得を目指した。
この水準の圧縮は前例がある。過去最大規模だった2019年のサウジアラムコ上場では、銀行団への支払いはわずか6400万ドル、調達額の0.25%にとどまった。
それでも、銀行側はこの案件を「トロフィー」と見なした。リーグテーブルでの存在感や、イーロン・マスク氏の企業と結びつく重要性は手数料以上であり、従業員が億万長者となったとの話題も後押しした。
実際のメリットは別のところにある可能性も高い。今後の売買手数料や貸付、さらにテスラとの統合論など、将来的なコンサル業務は手数料をはるかに上回る可能性がある。
なかでもゴールドマン・サックスは、今後数カ月で株式売買が活発になる中、その流動性を取り込める立場。銀行団は、マスク氏のビジネス帝国全体との関係強化も次なる案件獲得に向けて期待している。
現時点で0.7%という低料率は、マスク氏の記録的な資産規模を裏付ける創業者としての交渉力を示した。今後数四半期の推移で、銀行側の期待通りにこの関係が実益をもたらすかが注目される。

