イーサリアム(ETH)価格は5月10日以降で3.6%下落し、4月17日から続く下降チャネル内で大幅に値を下げている。この局面でクジラはETHを8億3200万ドル分買い増した。
デリバティブのポジション動向を見ると、下落前の上昇は新規ロングの流入ではなく、ショートカバーによるものであった。この展開によりクジラは低レバレッジで参入できた。一方、4月下旬以降、長期保有者によるETHの蓄積は約80%減少した。
取引所を除くイーサリアムのクジラ保有量は、価格チャートには表れない動向を示している。クジラウォレットは直近の下落局面でもETHを継続的に買い増してきた。この期間の保有枚数は1億2469万ETHから約1億2505万ETHへと36万ETH増加。
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現在のETH価格で、36万枚はおよそ8億3200万ドルの時価となる。
注目すべきはそのタイミングである。5月10日発の下落局面でETHは2日間で3.6%値を下げた。しかしクジラはその間もポジションを積み増した。こうした行動は、相場の下方ブレイクが起きると見ていない姿勢を示す。クジラがさらなる下落を予想する局面で買い増しに動くことは少ない。
クジラがここまで強気な理由はどこにあるのか。その答えはデリバティブ市場にある。
デリバティブ市場の動きが、クジラの買い増しを正当化している。イーサリアムの永久先物の未決済建玉は、5月7日の124億6000万ドルから5月12日には119億8000万ドルへと、約4億8000万ドル減少した。
イーサリアムの資金調達率(永久スワップのロング・ショート間で発生する定期支払い)は、0.012%前後の高水準を維持。5月7日は0.010%であった。
この両者の動向が示すのは、資金調達率が高い一方で建玉が減少しているため、ショートポジションの解消が進んでおり、新たなロングのレバレッジ増加にはつながっていないということだ。
つまり、市場の楽観は現実的かつ慎重なものとなっている。新規ロングの大量建玉が積み上がる状況ではなく、清算リスクが急上昇する要因も現時点では存在しない。
この環境こそ、クジラが好む市場の構図である。過剰なレバレッジがないため、外部からショックが加わっても連鎖的な清算の懸念が小さい。ただし、全てのオンチェーングループがこの見方に賛同しているわけではない。
イーサリアムの保有者によるネットポジション変化は、長期ウォレットが日々保有するETHの増減を示している。これはおおむね155日以上保有しているアドレスを対象とする指標である。
この数値は4月27日に38万3128ETHのピークを付けたが、5月11日には7万7675ETHまで低下し、約80%の減少となった。
長期保有者による新規購入が完全に止まったわけではないが、純増ペースは急激に鈍化した。スポット市場での買い増しペースは、4月下旬の約5分の1に落ち込んでいる。
この減速の主因は、デリバティブ市場の高資金調達率にあると見られる。ホドラーは0.01%超の資金調達率を、市場がロング過多になっている警告と捉えている。そのため買い上がりには慎重になった。ここに対立が生じている。クジラは建玉の減少を楽観の根拠とする一方、ホドラーは資金調達率の高さを過熱と判断している。
どちらが正しいかが今後の相場を左右する。最終的な判断はチャートに委ねられる。
イーサリアムは日足チャートで2311ドルで推移し、前日比1.2%下落。本構造は4月17日高値以来維持される下降チャネル内にある。
クジラによる買い支えが2298ドル、すなわち広範な下落の0.5フィボナッチ・リトレースメントを下回らせていない。
2298ドルを明確に割り込んで日足を終えた場合、2269ドル(0.618フィボナッチ)が次の下値支持となる。これは当日比で僅か2%の下落。
2269ドルを下回ると、2227ドルや2174ドルが意識される。2174ドル割れの場合、下降チャネル下限トレンドラインが意識され、さらなる下落圧力が警戒される。
一方で2327ドルを回復すれば、チャートは中立に戻る。2363ドルを超えれば構造は中立から上昇傾向に転じ、目先は2422ドルがターゲットとなる。
イーサリアム価格は、下値を支えるクジラ買いと、上値で慎重なホドラーに挟まれている。2298ドルは、緩やかな回復基調と2269ドルを試す2%下落リスクの分岐点。


