生成AIブームは、しばしば資本・コード・演算力の物語として語られる。アルファベット、アマゾン、メタ、マイクロソフトは2026年に約6500億ドルの設備投資を見込む。AI関連株も過去最高値付近で推移している。
しかし、ソフトウェア層の下には、変圧器や開閉器、バッテリー、電力網の容量、そしてあまり語られない素材であるヘリウムといった物理的サプライチェーンが存在する。
ヘリウムは、半導体製造に不可欠な材料で、冷却や漏洩検知、高精度なプロセスを支える。しかし、その供給はごく一部に集中している。
米国地質調査所「鉱物コモディティ概要2026」によると、2025年の世界生産量は約1億9000万立方メートルに達した。米国、カタール、ロシアの3カ国で、世界のヘリウム供給の約84%を占める。
カタールの生産量は同年6300万立方メートルに達し、世界供給量の約3分の1を占めた。ほとんどがラズラファン工業都市、世界最大のLNGコンプレックスから生産されている。
このバランスは3月18日に崩れた。イランが広域な米・イラン戦争の中でラズラファンを攻撃したためだ。カタールエナジーは一部長期LNG契約でフォースマジュール(不可抗力)を宣言。プレスリリースで修復には最大5年かかると警告した。
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ロシアも4月に2つ目の供給路を断った。2027年末までヘリウムの輸出規制を導入。軍用ドローン向け光ファイバー部品など、国内需要の増加を理由に挙げた。
電気設備の供給ボトルネックも問題を深刻化させている。米国で稼働予定だったデータセンターの約半数が、変圧器・開閉器・バッテリー不足で遅延・中止に追い込まれている。
同様の設備は電力網増強にも必要で、電気自動車やヒートポンプの需要増も受け止めている。国内生産能力の拡大は追いついておらず、データセンター開発企業は輸入依存を強めている。
このように、AIブームは資本では解決できない物理的なボトルネックに直面している。ウォール街は成果実現を織り込んでいるが、その根幹となる資材の供給は次々と逼迫している。
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